私募資本市場の効率化

セキュリティトークンによる資金調達(STO)が普及することで、私募資本市場で企業が資金調達を行うことがより簡単になります。それは主に「仕組みのプラットフォーム化」「オープン/グローバル化」「2次流通」によって実現されます。
セキュリティトークンのメリット

仕組みのプラットフォーム化

これまでの私募資本市場における調達では、個別に証券会社・法律事務所とやり取りしたうえで、証券の組成と当局への申請、投資家との出資交渉を行うことが一般的でした。ただ、この一連のプロセスには時間とコストがかかり、ある程度の規模の組織しか調達することができません。

 しかし、セキュリティトークンが実現すると、これらのプロセスがプラットフォームを通して一元化され、小規模な企業や、調達を急ぐ企業などが資金調達しやすくなります。トークンの所有権移転の処理や発行者と投資家間の契約、セキュリティトークンの発行・購入の手続き、地域によって異なる免除規定への対応がプラットフォームの機能として提供されます。

 この仕組みを活用することで、発行体は容易に私募市場における資金調達が可能になります。このような動きは、ブロックチェーン関連プロジェクトが活発なアメリカやEU/EEA地域などで進んでいます。

グローバルで統一された方法

ブロックチェーンに記録される有価証券は、セキュリティトークンと呼ばれています。これは、世界中のどこからでも参照することができる、オープンな仕組みに基づいています。ブロックチェーンとスマートコントラクトを活用することで、セキュリティトークンの発行とそれに関わる証券取引規則への遵守、及び投資家の証券購入をグローバルに統一された方法で行うことが可能です。

二次流通の場が形成される

プライマリ市場で発行・購入されたセキュリティトークンは、トークン規格に実装されている移転処理を利用して、セキュリティトークンを相対で譲渡する(P2P Transfer)ことが可能です。地理的に離れた機関投資家/適格投資家をマッチングしたうえで売買(Transaction)が行われ、二次流通の場が形成されます。

 これによって、これまでクローズドだった未上場証券の流動性が向上し、効率的な取引市場が形成されます。また、スマートコントラクトで取引方法や譲渡制限などが規定されているため、二次流通における国/地域の金融当局や金融機関の介入がこれまでより少なくて済みます。

なせ私募か?

現在、資本市場における資金調達の7割以上が私募によって行われています。しかし投資家から見ると、私募発行された証券を購入しても、その後売却できる機会は限られているため、大きな金額の投資がしにくく、結果として発行体も機動的に資金調達をしにくいという欠点がありました。この私募資本市場において、ブロックチェーンを活用したプライマリ市場とセカンダリ取引の仕組みが整えられることで、潜在的な資金ニーズが満たされ、機動的な資金調達により市場が効率化されることが見込まれています。

 すでに一定程度の流動性がある公募市場に比べて、私募市場はブロックチェーン導入のインパクトがより大きいと言えます。

新しい金融商品の開発

通常の証券と違い、ブロックチェーン上の暗号通貨のように扱うことができるセキュリティトークンは、スマートコントラクトによって様々な自動処理が可能です。この特徴を強調する意味で、”プログラマブル”な証券と呼ばれることもあります。この特徴を活かして、複数の証券を組み合わせたり、様々なアセットに裏付けられた新しい金融商品を開発することが可能になります。

 仮に複雑な金融商品となっても、ブロックチェーン上で透明化されているため、投資家がタイムリーに原資産のキャッシュフローを把握することができます。結果として、金融危機の発端であるサブプライムローンの証券化商品のように、「複数の証券が複雑に組み込まれて、原資産のリスクが把握できない」ということも避けることができます。

資産/権利の証券化・小口化

セキュリティトークンでは、株式や債券以外にもさまざまな資産や権利を証券にして、発行・流通させることが可能です。

 証券はプログラマブルなアセットで、投資家はウェブサイトやアプリで提供されるウォレットを利用して、それらの証券を購入・利用できるため、これまでよりもより発行体と投資家のニーズにマッチした、細かな証券化商品のカスタマイズが可能になります。個人投資家が購入できるような小口化も実現可能です。

私募資本市場のオープン化

私募市場オープン化によって可能になること
私募資本市場をブロックチェーンを利用して、オープン化することで、「投資機会」が増加し、「資金調達機会」が今までより多様化することが予測されます。

投資機会の増加

これまで、未上場の私募資本市場で発行された証券には、流通市場が存在せず、機関投資家は 証券会社を介した 相対取引以外にその証券の売買を行う方法が存在しませんでした。

 しかしセキュリティトークンは、ブロックチェーンを利用しているため、スマートコントラクトを介して、擬似的に上場していない株式のセカンダリ市場を創出し、機関投資家/適格投資家に流動性や取引価格を提供することが可能になります。

 また新たな機関投資家/適格投資家がそのセカンダリ市場に参入して、投資を行うことも容易になりました。世界中の投資家が「プライマリ市場・セカンダリ市場」ともに、より低いハードルで投資ができるようになり、投資機会と取引量が増加することが期待できます。

資金調達方法の多様化

これまで私募による資金調達は、個別に資金調達案件を証券会社・法律事務所と相談の上、規制当局に申請する方法で行われていました。セキュリティトークンの発行プラットフォームでは、法律事務所と連携することで、世界の各地域の金融当局の定める規定に遵守するようにプロトコルの仕様をローカライズし、企業にベストな調達先を提案することを可能にします。

 また従来の株式や社債だけでなく、発行体の要件により柔軟に対応する有価証券の設計&発行が可能になり、発行企業は事業形態やビジネスモデルに沿った資金調達方法を選択できます。このような企業の資金調達方法の多様化は、資本構成の多様化によるリスク分散と安定化をもたらします。



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